now onair

NEXT

ハナタレナックス

TOP > STAFF ROOM

STAFF ROOM

のぞみ。

2012年12月06日(木)

12月6日、木曜日。杉山です。

ここ数日の北海道は

家が吹っ飛ぶんじゃないかというくらいの強風が吹いたり、

雪が積もったかと思えばどしゃぶりの雨が降ってみたりと

かなりの荒れ模様が続いています。

そして今日は朝から吹雪ふぶき氷の世界...大荒れとの予報です。

今夜の「イシノマキにいた時間」アフタートークに出演する戸次さん、

今日東京から入ると聞いてるけど、ちゃんと飛行機着くかなぁ・・・

無事をお祈りしています。

 

さてそんな中、3日前になりますか。

「1/6の夢旅人」でおなじみの樋口了一さんがふらりとHTBにやってきました。

あ、ふらりと...なんて書くとただ遊びに来ただけのように聞こえますが

仕事でね、来ました。

ニューアルバムが出たということで、そのキャンペーンで来道し

情報番組「イチオシ!」や「夢チカ」などの収録を行ったんです。

 

ただ、あの人は昔からまるで「風のような」ふわっとした人なので

ふらりと・・・なんていう表現を思わず使ってしまいます。

なんかちょっとスナフキンみたいな人です。

 

その樋口さんの発売されたばかりのニューアルバムが

「了~はじまりの風~」。

2曲目に収録されているのがブログのタイトルにも書いた

「のぞみ」という曲で、今回の代表的な楽曲だそうです。

いきなり聞くと一瞬「おっ」と身構えてしまいそうな、ちょっと重たいテーマの歌です。

障がいをもって生まれてきた我が子を思う親の気持ちを、

実のお父さんが書いた詞に、樋口さんが曲を付けたもの。

 

のぞみ のぞみ 少しだけ早く

少しだけ小さく 生まれてきた大切な命

君が宿ったと聞いたとき 僕らは抱きあってよろこんだ

あの日 生まれた君はちょっとだけ 他の子と違っていたんだ

2歳の誕生日が近づくと まわりの友達は走り回り

楽しいおしゃべりが もう始まっていた

せめてひとこと「つらい」とだけでも言ってくれたら

 

そんな歌い出しで始まる歌です。

マイナー進行の曲調も相俟ってぐっと切ない気持ちにさせられます。

 

数年前には、老いて介護を必要とするようになった父親から

我が子にあてられたメッセージにメロディをつけ切々と綴った

「手紙」という曲を発表しました。

数々の賞も受賞して話題となったのでご存知の方も多いことでしょう。

そして今回の「のぞみ」。

 

実生活では今年、認知症を患っていたお父様が他界され、

ご自身も病気であることをテレビ等で公表した樋口さん。

僕もその事実をNHK制作のドキュメンタリー番組で知りました。

大変そうだな・・・、実際に会ったらなんて声をかければいいのか。

こちらの方がためらい、身構えてしまうような状況が

彼に襲いかかっているように見えました。

だから深く深く人生を見つめ「手紙」「のぞみ」と

重いテーマの楽曲が続いているのかな、

勝手にそんな想像もしていました。

 

しかし久しぶりに会った樋口さんは、何も変わっていなかった。

いや、見た目はだいぶ老けたけど(笑)、、、それはこっちも一緒。

同年代で一緒に年を取ってきたのだから。

 

昔と変わらず風のようにやってきて、「あ、どうも~」なんつって。

最近はまっている音楽の話や、昔懐かしいどうでしょうの思い出話や。

規制や権利が今よりずっと緩かった古き良き時代のテレビやラジオの

バカみたいな話で爆笑もしました。

みんなにも教えてあげたいけど、きっと今の時代じゃ放送自粛だな・・・。

そんな他愛のない話。

つらさとか苦しさとか、微塵もない。感じさせない。

 

そして飄々とこう語るのです。

「1/6の夢旅人」も「手紙」も「のぞみ」も、僕にとっては全部同じ、と。

昔も今も、「何があっても人の営みは続いていくし、何があっても人は生きていく」

そんな希望を歌に込めているんだ、と。

 

情熱とかバイタリティとか、元々そういう言葉とは対極にあるような、

どちらかというと脱力系の人だけれど、

そんな彼があまり表情を変えず淡々とそんな言葉を口にするのです。

こんなやる気無さそうに見えて(失礼)、めちゃくちゃ強く生きている。

なんか得体のしれない「静かな力」を感じました。

 

言われて見れば、確かに。

 

世界じゅうを 僕の涙で埋め尽くして

やりきれない こんな思いが 今日の雨を降らせても

新しい朝が いつものように始まる・・・

 

うん。そうか。なるほど。

つながってる。ぶれてない。

ポップかマイナーかの曲調の違いはあれど、何も変わってない。

「のぞみ」という曲も前段で書いた歌い出しから、次のように続きます。

 

君はゆっくりな子だって ある日ぼくらは気が付いたんだ

それなら君が育つよろこびが ゆっくりと長く続きますように

 

パパは大きな傘を一つ ママは小さな傘をたくさん作ります

君の人生に冷たい雨が かからないように

 

アルバムのタイトルは「了 ~はじまりの風~」。

風のように軽やかに、けれど深く人生を考えさせてくれる、

そんな樋口さんらしいアルバムです。

皆さんも是非、聞いてみて下さい。

いつもと変わらぬ自宅の部屋に、一瞬風が吹き抜けると思います。

 

そしてさらに、今週の土曜日(12/8)には小樽でライブがあります。

生で、あたたかい風に吹かれてみたい方はこちらにも是非足を運んでみて下さい。

僕も行こうと思います。

小樽名物なるとの半身揚げでもお土産に持って。

 

12月8日(土)16:00開演 

ウイングベイ小樽3F 「市民劇場ヲタル座」にて。

詳細は http://www.higuchiryoichi.com/

 

ツルツル路面の雪吹き荒れる北海道ですが、

きっとそこには人生のあったかい風が吹き抜けることでしょう。

皆さまも、豊かな週末を過ごせますように。

 

(杉山)