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安田さんの贈り物

2017年01月20日(金)

以前このページでもご報告しましたが

1月上旬に東京で記者取材会を行ってまいりました。

今日はその楽屋裏でのちょっとしたエピソード。

場所は東京都江戸川区。

都民でもめったに行かないであろう、

僕自身も初めてその名を聞く都営新宿線瑞江駅という

馴染みの少ない駅の近くでロケが行われました。

撮影場所は住宅街にたたずむ風情ある郷土料理屋さん、

さらに各紙の取材記者さんもお呼びしていたので

現場はぎゅうぎゅう詰め状態。

控室を用意することさえままならなかったので

近くにあったホールの会議室をお借りして

別室としてナックスさんの控室に当てました。

主に着替えとメイクをする場所です。

当日はメンバー全員その会議室に直接集合。

ハナタレで取っているナックス5人の支度時間、

つまりメイクと着替えの時間は通常トータルで1時間半ほど。

一人当たり15~20分といったところでしょうか。

ただしメイクもスタイリストも一人ずつしかいませんので、

全員同時に支度をすることはできず、

当然ながら時間差で順番に入って頂くことになります。

この日は朝9時に森崎さんと安田さん。

9時30分に残りの3人が入り、準備をして

10時半に現場へ移動というスケジュールでした。

ところが第1陣の2人が予定より早く8時50分に到着、

おまけに企画はシリーズものの「一問一答」だったため

衣装も着慣れたもので、あれよあれよという間に支度が終わり、

9時20分頃には二人ともほぼスタンバイ完了となりました。

普段に比べると20分くらいの早上がり。

少し時間を持て余すことになります。

森崎さんはケータリングのお菓子を食べながら

メイクさんやマネージャーと談笑。

安田さんはケータイとかPCで台本とにらめっこするか、

喫煙室で黙々と煙草を吸うかのどちらか、というのが

いつものパターン。なのですが。

東京の見知らぬ街に来たのが新鮮だったのでしょうか?

安田さんが「ちょっと外に出てブラブラしてきます。」と言い残し

衣装の上にジャンパーを羽織って出て行ってしまいました。

わりと晴れてましたし、散歩日和といえば散歩日和。

一人の時間を有意義に過ごしてくるのかな、と

その背中を見送りました。

ほどなくして残り3人も控室に到着し、

順調に支度も済んでまもなく出発の10時半ですね、

という頃。

なんか片手に重そうなビニール袋をぶら下げて

安田さんが帰ってきました。

そして僕の顔を見るなり、

「ブックオフで時間つぶしてたら、見つけたので、これ。」

と言ってそのビニール袋を差し出したのです。

「どうぞ。」

「はあ...。」

中身を出してみると、まるで大図鑑のような、

硬くて重いザ・ローリングストーンズの写真集でした。

これです。

yasuda-stonesphoto2.JPG

2~3キロはありましょうか?(笑)

ストーンズの歴史がぎっしり詰まった辞典のような写真集。

実は僕は大のストーンズファン。そして安田さんも。

(安田さんの場合はもっと幅が広くて洋楽ファン、

更にはビートルズファンという感じですが)

かつて札幌ドームでストーンズのライブがあった時には

二人で高いチケット買って、一番前の席で大騒ぎしたこともありました。

そんな安田さんから、「プレゼントします」と。

不意の贈り物に戸惑っていると、

「あ、もう持ってました?」

うーん、、、正直思い出せない。

僕はわりとマニアに近い域ですから

大人向けに次々と出されるリマスター版とかデラックス盤とか、

秘蔵DVDとか様々なグッズを迷わず買ってしまうクチなんですが、

それは主にCD、レコード、映像作品の話。

写真集となるとちょっと微妙なんです。

買うものもあれば躊躇するものもある。

あまりにたくさん出てるし似たようなものも多いし。

しかも書籍類はたいてい買っただけで安心して

ろくに見ないまま棚に収めて終わり、、、というケースも多く、

正直どれとどれを持ってるのかすぐには思い出せない。

でも、その時は半信半疑ながら

せっかく重いものをぶら下げてきた安田さんの真心を

無駄にできないという気持ちもあり

「いや、これは持ってないと思う」と答えました。

「だったら、どうぞ」と。

ニコッと笑って僕にくれました。

「うわー、ありがとう!」

この日、僕は札幌から1泊2日で東京出張。

ロケが終わったらそのまま飛行機に乗って帰るので

わりと小さめのカバンに荷物をパンパンに詰めて移動していました。

写真集をカバンに詰め込もうとしましたが、まったく入らない。

9割ぐらい、はみ出しています。

「逆に荷物になっちゃいましたね、すいません」と

僕のその姿に安田さんも少々苦笑いでしたが

「いや、これは手荷物にして持って帰るから」と

ブックオフの青いビニール袋のまま

札幌まで手に持って帰ることを決心しました。

この時もし「持ってる」と答えたらどうしたのでしょうか?

いや、もしくはそう答えると思って聞いてくれたのかも知れない。

本当は自分が欲しくて買ったんじゃないだろうか?

だとしたら申し訳ないことしちゃったかな??

それとも何かのお詫びのしるしとか?

だとしたら今度の全国特番でやらかしてしまった、

アノ事件への罪滅ぼしかな??

なんてことも考えつつ、でもせっかくだからと

大事に持って帰りました、地下鉄を乗り継ぎ、飛行機に乗り、

JRに乗り、バスに乗り、札幌の自宅まで。

ビニール袋の持つとこがいいだけ伸びきっちゃって、

真冬の寒さで指がちぎれそうになりながら。

何度も何度も右手と左手とに持ち替えて。

そしてやっと家に着き、我が家の本棚に飾ろうとした時でした。

「あ、、、、、」

ここで、安田さんに謝らなければなりません。

「顕ちゃん、ごめん。」

yasuda-stonesphoto.JPG

「持ってた......。まったくおんなじの。」

P.S.

次に会った時に、僕がもともと持ってたほうを

今度は安田さんにプレゼントしたいと思います。

できれば彼が日帰りの時に。ビニール袋に入れて(笑)

あ、ちなみに僕のは普通に買った新品本です・・・。

でもこれは古いの新しいのという問題じゃない。

「安田さんの不器用な気持ちに、素直にありがとう」。

(杉山)