now onair

NEXT

2023年 統一地方選挙について、HTB、朝日新聞が協力して情報をお伝えします。

2023統一地方選挙

札幌市長選 争点の1つ「冬の除排雪問題」現場が直面する課題は 立候補者の主張は

2023/03/28(火) 14:11|HTBニュース 掲載

 3月26日に告示された札幌市長選挙には、3人が立候補しました。争点の一つが、市民生活に大きく関わる「冬の除排雪」です。その現場はいま、高齢化など多くの課題に直面しています。

 除排雪作業員:「64歳です。ロータリーの助手をやっています連勤が続くとキツイですね」「68です。昔は元気ありましたけど、年々、元気がなくなってきています」

 今月6日、札幌市西区の除排雪センター。排雪作業前の打ち合わせが行われていました。このセンターでは若いスタッフが少なく、中には70代の人も現役で働いています。この日は住宅街の排雪作業です。重機やダンプトラックの運転手など、40人ほどのチームで作業を行います。

 機械で取り切れない部分は手作業で排雪を行います。体力が必要な仕事です。

 佐野重機・蛯子直樹さん:「うちのオペレータに関しても、40代後半、47、8が平均になっていまして、時間的に夜とか、新雪、自然が相手ですので雪が降れば出動しなきゃならない。時間的に不規則な面があるのが、いまの若い人たちがあまり入ってこない原因なのかな。」

 過酷な除排雪の作業。人手不足は作業を担う業界の構造上の問題が影響しています。

 札幌市除雪事業協会・宮浦征宏会長:「除雪業者は建設業がメイン、夏場は土木工事、建設業をして、冬場は除雪という体制になっているので、年間通した仕事が安定していないと人材確保は難しいかと思っています。」

 道内の公共工事の額は、1999年度の3兆円をピークに、昨年度は1.5兆円台と、半分近くまで落ち込んでいます。

 札幌市の除排雪にかかった費用は、大雪に見舞われた昨年度は263億円に上りました。来年度は当初予算で、過去最多となる261億円が計上されています。

 行政だけではなく、住民の負担も増えています。住宅街などの排雪には、およそ30年前に住民と市が費用を負担して行う「パートナーシップ排雪制度」が導入されています。

 この制度にも課題が・・・。

 札幌市豊平区の東月寒地区。50の町内会がありますが、このうち34の町内会がパートナーシップ排雪制度を利用しています。

 東月寒町内会連合会・有田京史会長「小さい町内会でも小さい道がたくさんあると、1世帯あたりの負担が大きくなります。負担の軽いところは3割、大きいところは町内会の予算の7割以上がパートナーシップに予算とられるという町内があります。」

 幹線道路が多い町内会は負担が少なく、生活道路が多い町内会は負担額が大きくなってしまうという「差」が生まれています。

 東月寒地区でも町内会によっては、少ないところで、ひと冬で2万円、多いところでは94万円を負担しています。

 また、町内会への加入率は年々減少しています。札幌市全体で加入率は7割を下回っていて、町内会費を払っている世帯と、払っていない世帯の間で、パートナーシップ排雪の負担が平等になっていないのが現状です。

 東月寒町内会連合会・有田京史会長「地域住民としては公平にしてもらいたい。全部、札幌市でやってもらうのが一番いいです。」

 北海道大学 佐々田博教教授:「交通の不便というだけでなく、例えば医療機関であるとか医療サービスをうけている人たちにとっては生死にかかわる問題でもあるわけですから、市民が安心できるような対策を市役所がとっていくことは絶対必要ですし、そのなかで何が一番効果的なのか、市民、有権者が考えていかないといけない。」


 札幌市長選には3人が立候補しました。除排雪についてそれぞれの主張をみていきます。

 現職の秋元克広さんは、「除排雪をより適切で迅速にするため関係機関などと連携する。将来にわたり持続可能な体制をつくる」としています。

 ほかの2人は「パートナーシップ排雪制度」を廃止し、その分を市が負担するとしています。

 そのうえで、新人の高野馨さんは「民間丸投げから徐々に官民協働へ移行させる」としています。

 新人の木幡秀男さんは「重機オペレーターの人員確保などに十分な予算を確保する」としています。

 札幌市長選は4月9日投開票です。